片山知事

 少子化対策との関連で、いわゆる周産期医療の中核といいますか、総合周産期母子医療センターの設置が必要ではないかということでありますが、ご指摘になったように、最近ではリスクの高い出産というのがふえていることは事実であります。それは低体重児でありますとか、多胎児妊娠でありますとか、若年出産とか高齢出産とかの割合が非常に高くなっているということで、以前に比べて出産に伴いますリスクが大きくなっているだろうと思います。できる限りそのリスクを低減させるということが必要だろうと思います。
 これについては、現在鳥取大学医学部の附属病院においてご指摘のようなセンターを設置することを検討されておりまして、これについて私どもも強い関心を持っております。大学とも意見交換などをしております。既に私の方から鳥取大学の能勢学長の方に総合周産期母子医療センターの設置についてというお願い、要請もしておりまして、もちろんその際には県としても応分の協力を申し上げるということが前提になると思いますけれども、既に申し上げているところであります。この辺の事情につきまして、福祉保健部長の方からご答弁申し上げます。

 医師の確保の問題で、1つは私立の医大に進学させることが非常に高コストであるというご指摘がありましたけれども、それはそのとおりであります。非常に高いと思います。我が家も今年受験生がおりますし、何人も大学に行かせましたし、まだあと予備軍が2人いるのですけれども、我が家ではどこに行ってもいいけれども、私立の医大は対象外ということに実はしておりまして、それはとてもではないですけれども、財政的にやはり難渋をきわめますので、ぜひ私は各家庭でもご無理はなさらない選択をされた方がいいのではないかという気がするのです。
 これについて、安田議員の方から県内医師の確保との関連で、県内から私立の医大に進んだ学生に対して学費の支援などをしたらどうかということでありますが、私立医大の年間に納める納付金といいますか授業料などを見ますと、今鳥取大学と連携を組んで地域枠で支援しようとしている程度の金額では間尺に合わないのではないかと思うのです。焼け石に水と言った方がいいかもしれませんけれども。しからばもっと手厚い支援を私立大学の医学部の場合はしたらどうかという意見があるかもしれませんが、それは恐らく行政のカバーする領域を多分超えるのだろうと思います。
 私立大学の医学部の問題、非常に学費が高いという問題は、むしろ私は国の医師養成課程といいますか、大学のあり方の問題だろうと思うのです。本当に必要な職業というものを能力と資質、意欲というもののすぐれた人を養成しようと思ったら、やはりもっと国立大学とか公立大学とか、そういうところで養成できる枠をふやす方が理にかなっているのではないかという気がします。先般もちょっとご紹介したと思いますけれども、福島県の佐藤知事が自分のところの県立医大でもっともっと医師の養成ができるのに、なぜ定数の増を認めてくれないのかといって全国知事会で総理に訴えておられましたけれども、国公立でもっと養成できる可能性があるのに、そこを閉ざしてしまっているというところが、閉ざしているといいますか制限を加えているというところが大きな問題ではないかという気がします。
 これから医師については国公立大学のウエートをもう少しふやすような、鳥取大学の医学部を含めてですけれども、国公立大学の枠をふやすような方策を政府においてとられるべきではないかと思います。それが1つの解決方法ではないかと思っております。

 女性医師について、働きやすい環境をつくるべきではないかというのはそのとおりだと思います。
 実は、私の兄嫁というのでしょうか、兄の配偶者も女性医師でありまして、子ども3人産み育てておりますけれども、常日ごろ聞きますと、やはりそれは並々ならぬ苦労があるようであります。
 これからの地域医療の充実でありますとか、女性医師の役割、存在というのは大変大きいものがありますので、この女性医師が、例えば産休でありますとか育児休暇、育児休業でありますとか、そういう子育てと仕事が両立できる環境というものが、職場すなわち医療機関において充実することが必要だろうと思っております。
 各医療機関において、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思っておりますけれども、この現状でありますとか補足などを、福祉保健部長の方から申し上げたいと思います。

福祉保健部長

 まず、周産期医療センターについてお答えをさせていただきます。
 議員のご質問のもありましたけれども、近年の出産の状況を見ますと、2,500グラムに満たない低体重児の出生数は10年前の約1.4倍、多胎児妊娠が約2倍、35歳以上の母体による出生数が1.6倍というように、ハイリスクの出生がかなり増加してきているというふうに認識をしております。現状でこういうリスクのある出産にどう対応しているかというと、産科のあります病院とか診療所等地域の中核病院、中央病院、厚生病院、鳥大病院というところとの連携で今対応しているというのが現状だというふうに思います。
 当然そういう意味で、この周産期母子医療センターというのがあるにこしたことはないということで、大学ともそういうお話をさせていただいております。知事が申し上げましたように要望も出させていただいています。具体的な支援のあり方について、まだ突っ込んだ話し合いはできていませんけれども、今後そういったお話があるのではないかというふうに思っておりますので、県としても精いっぱい検討したいというふうに思っております。

 次に、女性医師の確保ということでございますけれども、ご質問にありましたけれども、女性医師に限りませんけれども、医師の勤務、特に勤務医の業務というのは本当に大変だというふうに私どもも認識をしております。特に女性医師の場合はそれに出産とか育児とかということがかかわってきますので、非常にハンディがあるなというふうに思っています。女性医師の比率というものは非常に高まっていまして、鳥取大学で多い年は半分が女性だったという年もあるようでございます。そういう意味で、この女性医師の確保というか、女性医師の働き方を支援するというのが医師の確保にとっても大きな課題だというふうに思っています。
 そのためには、まずは産休育休がきちんととれる体制、というのはやはり代替の医師がないとなかなか休めないということがあります。ということは全体としてはやはり医師の確保というのが裏に必要になってくるということだろうというふうに思います。
 それと、やはり休みますと、医師の業務、医療技術というのが非常に進歩が速いですので、なかなかついていけないという不安をお持ちの先生方も非常に多いということで、一度休むとそのままリタイアされてしまうという傾向が出ているように思います。そういう意味では再教育の場といいますか、技術を維持できるような仕組みというものも考えていかなければならないのではないかと思っています。
 あわせて子育てしながら医師の業務が続けられるフレックスタイムの導入ですとか、当直を緩和して夜勤をなくすとか、病児保育、そういったものを通じて仕事と子育てを両立させる、そういう仕組みも必要なのではないかと思っています。
 県として、実は鳥取大学医学部も同じような問題意識を持っておられまして、先般も井藤学部長とも私もお話をしたのですけれども、まずはやはり実態把握から始めようかということで、医学部とも話をさせていただいています。その結果も踏まえて、今後の対策というものを考えていきたいというふうに思っております。

病院事業管理者

 女性医師が安心して働けるような職場環境をつくっていくということは大切なことであると思っております。
 ただ現実を見ますと、今中央病院には女性の医師が非常勤職員も含めて7名、厚生病院に5名おります。全体のパーセンテージでいうと10%と14%と、こんな数字でございます。しかも現在、就学中の子供さんを持っておられる非常勤の医師がおりますけれども、常勤の医師の中にはおりません。就学前の子供を持った女性医師はおりません。また、最近県立病院の勤務中に出産子育てを行った医師もいないと、こういう状況でございます。職場としては非常にどう言ったらいいのでしょうか、普通の社会では余りないような構成になっているものだなというふうに改めて私も認識をいたしております。
 妊娠育児中の女性職員への支援策でございますけれども、育児休業ですとか、あるいは部分休業ですとか、あるいは育児時間の取得制限などにつきましては、病院の職員も知事部局の職員と同一の制度になっております。しかしながら、先ほど申しましたように、制度面ではそれがあるにもかかわらず、現実問題としては今まで県立病院で出産子育てをした医師がいないということがございます。恐らく何らかの原因があるのであろうというふうに思います。すぐ思いますのは、非常に医師というのは多忙な勤務実態がある。医師は24時間医療に自分の時間をささげるべきだというふうなことを言われたお医者さんの言葉を私も聞いたことがありますけれども、そんなふうな雰囲気というのもあるのかなというふうな気がいたしております。
 まずは子育て支援の制度というものをさらに周知を図るということ、これは当然でございますけれども、今の制度面で何か不十分な点がないかどうか、それを実際の場面で適用していく場合に問題がないかどうか、あるいは先ほど言いましたように職場の雰囲気に問題がないかどうか、これらの点について関係者、あるいは女性の医師も含めていろいろなご意見を伺って、さらに取り組めることがないかどうか考えてみたいというふうに思っております。


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